子どもの薬について
子供の薬の量を考える際の大切な考え方
①小児は成人のミニチュアではない
薬を体内で代謝・排泄する臓器の発達状況や、代謝する酵素の活性などは成人と比例しないことがほとんどであるため、成人の縮図と考えてはいけません。
②新生児は小児のミニチュアではない
新生児の体内に存在する代謝酵素の活性は小児とは異なることがわかっています。また一概に生後1か月の新生児と言っても、36週で産まれた生後1か月と40週で産まれた生後1か月では臓器の発達具合や酵素活性が大きく違い、同一と考えると思わぬ副作用が出てしまうことがあります。このような場合は受胎後日数で考えます。
③肥満児、むくみのある小児の用量は身長もしくは年齢によって算出する
よく子供の薬の量を体重で換算して算出しますが、肥満児の場合薬の量が多くなってしまいます。しかし実際には臓器の発達状況はまだ未熟であるため、身長を用いて体表面積を算出して薬の量を決めるか、年齢を考慮して考えた方がより安全と言えます。
④小児用量は成人量を超えてはいけない
よく体重だけで薬の量を計算すると、成人量を超えてしまうこともあります。体重が約30kgをこえると成人量と同じくらいになってしまう薬剤は多く、そのような場合には成人量以上の薬剤量は投与しないことが原則となっています。
子どもの薬Q&A
くすりは自己判断で勝手にやめないというのが原則です。
但し症状が消えたら止めても良いくすりもあります。状況により判断は異なりますので、くすりを医師に処方してもらった時に、どんなくすりで、症状がどうなったらやめていいかを医師・薬剤師等にきちんと聞いておくとよいでしょう。
細菌が原因の感染症による炎症や化膿を抑えるお薬です。
溶連菌感染、とびひ、百日咳、膀胱炎など細菌感染が原因と疑われる場合や中耳炎、気管支炎、副鼻腔炎、酷い咳・鼻水などでの悪い細菌の増殖を抑える為に使用されます。
抗生物質を飲んでいる時はその病気の原因となっている菌だけでなく、腸の調子を整えている善玉菌まで殺してしまうので、腸内環境のバランスが崩れて下痢になることがあります。
ただしその下痢が抗生物質の副作用なのか、病気によるものなのかは判断が難しいこともあります。
軽い軟便程度ならば継続して飲むように指示がある場合があります。抗生物質が処方される時は必ず医師に指示を聞いておくようにしましょう。
抗生物質の中でもセフゾンという薬は飲食物(鉄分の多い粉ミルクなど)と反応し赤黒い便がでることがあります。酷い水下痢または粘っこいピンクの色の粘液がついた便が出た時は抗生物質の服用を中止し、医師に相談しましょう。
溶連菌感染、とびひ、百日咳、肺炎、マイコプラズマ肺炎、膀胱炎、腎盂腎炎、傷口の化膿等に使用される場合は医師から飲みきるようにと指示があるとおもいます。
いずれの場合もその症状に合わせた抗生物質の種類と量があるのでその指示に従うようにしましょう。服用中に酷い下痢や粘液便、湿疹などがでてしまった場合は医師に相談しましょう。
1.お薬は水またはぬるま湯で。
基本的には、お薬は水またはぬるま湯と一緒に飲ませましょう。
そのままお口に入れるとむせてしまったりして飲みにくい場合は、少量の水・ぬるま湯に溶いて底に残らないようにすべて飲ませます。水分量を増やしてしまうと飲み残してしまうことが多いので注意してください。
2.溶かす場合には飲む直前に。
粉薬を溶かして飲ませる場合には飲む直前に溶かし、溶かしたら速やかに飲ませてください。時間が経つと味が変化したり、お薬の効き目が落ちてしまうことがあります。
3.必ずしも食後服用でなくてもよい場合は服用する時間を工夫する。
お子さんに食後にお薬を与えようとしたらお腹いっぱいになって嫌がってしまったり寝てしまったりということも少なくありません。このような場合は食前の服用等を検討してみてください。お薬をもらうときに「食後」の指示でもらうことが多いと思いますが、実際には忘れないようにするために「食後」とすることが多く、必ずしも食後でなければいけない薬ばかりではありません。
4.保育園や幼稚園の都合で安易に服用回数を減らさないようにしてください。
よく「保育園や幼稚園で薬を飲ませるのが大変なので1日3回の薬を1日2回に変更してもらって出してもらいました。」ということを聞ききます。確かにそのようにしてもよい場合はありますが、抗生物質などで1日3回の薬を1日2回に減らしてしまうと本来よりも効きが悪くなってしまう場合があります。そのような場合は「朝・帰宅後・寝る前」服用などとすることで本来の効き目を保てることも多いので安易に1日2回で処方してもらわずに一度薬剤師に相談してみてください。
5.お薬を飲めたら褒めてあげる。
お子さんは親に褒められると自信がついて喜ぶものです。お薬を飲む場合も、きちんと飲んだら褒めてあげると得意気になって率先して飲むようになったりします。何気に非常に大切なことだと思います。
6.薬を飲ませようと思ったら子供が寝てしまった。どうしよう....
子どもが眠ってしまった場合、無理に起して飲ませた方が良い薬はほとんどありません。お薬を飲む時間を多少ずらしても問題がないことがほとんどですので1・2時間位のずれは特に気にしなくてよいでしょう。次回服用までの間隔が極端に短くなりそうなときには次の服用を少し遅らせて服用してください。
ただし、薬によっては服用時間を守らなくてはいけないお薬もありますのでお薬をもらう際に薬剤師に確認しておくとよいでしょう。
1.ペースト状にして上あごやほおの内側につける。
~赤ちゃんや小さな子供の場合~
まず、手指をきれいに洗い、少量の水で練ってペースト状にし、これを指先に取ります。
次に赤ちゃんの上あごやほおの内側につけて水やミルクなどを飲ませて、お薬を流しこんで下さい。この時舌の上にのせてしまうと苦い味を感じてしまうので注意してください。なるべく1回で終わるように心がけましょう。
2.好きなものに混ぜて飲ませる。
そのままでは飲めなかったり1の方法でも飲んでくれない場合には、好きなものに混ぜて飲ませる方法もあります。
アイスクリームやミルクココアなどに混ぜると喜んで飲んでくれる場合が多いようです。但しお薬の中には、特に酸味のある飲み物などと混ぜると苦みが増してしまうものもあります。あらかじめ混ぜてはいけないものは何か確認しておくとよいでしょう。
1.スポイト等を使用する。
スポイトや哺乳瓶用の乳首、与薬用の注射器(注:針つきのものは禁!!)やシロップ用の与薬補助器などを使うとお薬を与えやすくなります。スポイトや注射器を使用する場合には頬や歯ぐき側に向けて入れてその後にミルクなど一緒に飲み込ませるようにします。
2.吐き出させないような工夫をして飲ませる。
薬を飲ませたあとに口直しとしてジュースやアイスクリーム を与えると吐き出すことが少なくなります。また、パンやカステラ・乳幼児用のウェハースやお菓子などにしみこませて飲ませてもよいでしょう。
3.冷蔵庫で冷やして飲ませる。
冷蔵庫で冷やすと味の強さを感じにくくなり飲みやすくなることがあります。
1・座薬の入れ方
座薬は体温で溶けやすく作られているため、保管するときには溶けださないように冷蔵庫で保存することが多いと思います。しかし乾いた座薬を肛門に入れようとすると、摩擦によってお子さんが嫌がってしまうことも少なくありません。そこでまず使用する前に肛門と座薬にベビーオイルや水を塗って摩擦を少なくします。少し手で温めてから使用してもよいでしょう。
次にお子さんをおむつ替えの体制にして両足を腕でおさえます。この時利き手以外の手でおさえてください。お子さんが発声できるようであれば「ヒー」などと長めに声を出してまねしてもらうと力が抜けて入れやすくなることがあります。足を抑えたら座薬を一気に挿入します。挿入前にあまり放置しておくと座薬が溶けだしてしまうので注意してください。挿入したらすぐに手を放すのではなく指でそのまま肛門を抑えて自然に入っていくのを待ちます。すぐに指を放してしまうと反射的に座薬が出てきてしまうことがあるので注意してください。
2.座薬が挿入後すぐに出てきてしまった場合は...
座薬を入れた直後に出てしまった場合は再度挿入しますが、半分以上溶けて出てきた場合や5分以上肛門内にとどまってから出た場合には、薬の成分が吸収されている可能性が高いため入れなおさず様子を見てください。
服用後、じんましんや湿疹、吐くなどのアレルギー反応を起こす場合があります。様子を見て軽快する場合も多いのですが、服用後5~30分以内に以下のような症状が出現した場合には急いで119番して対応してください。
「皮膚のかゆみ」「じんま疹」「紅斑・皮膚の発赤」 などの皮膚症状
「胃痛」「吐き気」などの消化器症状
「声のかすれ」「くしゃみ」「のどのかゆみ」「息苦しさ」 などの呼吸器症状
「視覚異常」
体温調整がうまくいかない年齢が小さいうちは、体温は一般に成人より高い傾向にあります。
体温が37.5℃を超えてきた場合に発熱と考えますが、すぐに解熱用鎮痛剤を使ってしまうと発熱の原因がわからなくなったり症状が悪化することがあります。まずは医師等に相談をした後、指示にしたがって使用してください。
一般には38.5℃以上の発熱が数時間継続し、解熱傾向が見られない場合に使用します。効果は4~5時間程度持続します。解熱剤を使用しても熱が下がらない場合は速やかに受診してください。
熱性けいれんの7~8割は心配のない単純型の熱性けいれんです。
お子さんがけいれんを起こしたら、慌てずに様子を良く観察してください。
見るポイントは、
・けいれんを起こしているのは身体の一部か全体か。
・目の位置は左右上下どこを向いているか。
・そしてけいれんが何分続いたか。
・体温はどれくらいか。
をチェックしてください。
但し次のような場合は良性の熱性けいれんではない場合もあるためすぐに医療機関を受診してください。
・発作が10分以上続く場合。
・短い間隔で繰り返し、意識障害が続く場合。
・発作が体の一部または部分的に強い発作が起きている場合。
・初回発作。・痙攣発熱以外の症状が伴う場合。(頭痛・嘔吐・意識障害など)
・痙攣が左右非対称な場合。
・痙攣後に麻痺が見られる場合。
食事やミルクを受けつけずにぐったりしている時は脱水症状になりやすいのでまず医師に診てもらいましょう。そのうえで家庭での療養の指示があった場合には水のようなお粥とイオン水を根気よくこまめにあげるようにしましょう。
嘔吐下痢がある場合には固形物や乳製品は消化できずに負担になります。一度に通常の食事量を摂ることもできません。スプーンやスポイトで少しずつむせないように上体を起こして口に流してあげるといいでしょう。
★手作りイオン水
水500cc 砂糖大さじ1~2 塩小さじ1/4
お好みで絞った柑橘類の果汁大さじ1